こんにちは、こんばんは、masakiです。
今回は「美容師さんでも知らない人が多い、パーマの2液」について紹介していきたいと思います。
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まずパーマ2液についてこんな事があるかと思いますが・・・
- 中間水洗は何でするのか?
- SS結合・架橋が変わる?
- 水なし、2液だけで充分じゃない?
例えば、時間の短縮だ!とか言って中間水洗をやらない人がたまにいますが、それは”間違い”っていうことになります。逆に言えば理屈を分かった上でやっているのであれば、問題ないのですが、
今回は、その理論について紹介していきたいと思います。
中間水洗は必ず温水で中和→2液=SS結合・架橋・・・これですよね・・・
この内容を聞いた後、あなたはこうなっています
- なぜ中間水洗をするのかが分かります。
- 水なしの2液がダメな理由がわかります。
- 髪の毛のダメージを減らすことが可能になります
- 知識を習得することで美容師として自信が付きます
ではでhやっていきましょう。
パーマ理論を簡単に説明していくと、
SS結合を切って
↓
ズラして
↓
SS結合を再結合
これらの流れがパーマにおける一般的な理論とステップですよね・・・昔から何も変わっていません。
その後に「イオン結合」などの知識が一般的に普及して「デジタルパーマ」や「エアウェーブ」で、薬剤のパワーだけじゃなく「熱や乾燥」などの物理的パワーもパーマにおける技術として定着していきました。
ここ何ヶ月は美容師さんが嫌いな、この↓化学式を出し惜しみなく紹介していきました。YouTubeでも公開していますが、再生数は中々伸びません・・・笑
KSSK + RSH ⇄ KSSR + KSH (1)
KSSR + RSH ⇄ RSSR + KSH (2)
パーマを反応式から考える!ってところです。
まだ見ていない方は、この辺りを復習しておきましょう。
↓
知らない美容師が多いパーマ理論3つ「ミックスとジチオ」ダメージ原因はフリーザ?
パーマ4つの基本「チオグリコール酸・シス・システアミン」薬剤スキル
【ウェーブダメージ減少させる方法】クリープパーマ・応力緩和・ポイントは3つ美容師基本編
「ミックスジスルフィド」
「ジチオジグリコール酸」
とか、初めて聞いたら美容師の職業が嫌いになるような内容ばかりでしたが、このサイトにたどり着いているあなたは、恐らく美容師さんが大好きか、勉強してもっと上手くなりたい美容師さんか、もしくはただの変態の可能性もあります。
この理論を元に、色々と試行錯誤し結果もそれなりに出てきた。。。
物理的パワーを使用するデジタルパーマとかのように劇的な変化はないですが、手触りや持ち、かかり具合の質感の違いで少しづつは違いがわかる様になってきました。
実はここでパーマに関するとても重要な論文が発表されているんですね。
パーマネントウェーブ処理におけるチオグリコール酸還元後の水洗による毛髪内ジスルフィド架橋の再生機構
題名だけで目眩がしますよね・・・
この論文を読んで、この記事を読んでいるあなたにもわかる様に「PowerPoint」で頑張って図解化して資料を作成。
はっきり言って、この論文の中にある検証の結果には正直びっくりしました。
一般の方にはどうでもいいことかも知れませんが、いち美容師として考えると、とても重要な事なんですね。かなりの有料級になります。
ではでは、この論文を解説していきます。
パーマの中間水洗と毛髪内の架橋再生!
まずはこの化学式を理解しましょう。
還元剤 ↓
RSH ⇄ RS + H+
還元反応 ↓
KSSK + RSH ⇄ KSSR + KSH (1)
KSSR + RSH ⇄ RSSR + KSH (2)
酸化反応 ↓
2KSH + O → KSSK + H2O
化学式を理解できない美容師さんは。この記事を何度も読み直しましょう。
↓
還元剤のイオン化・酸性とアルカリチオの関係【小学生でもわかるパーマ講座 pka】美容師向け
美容師向け還元剤→イオン化→実は2つある?【小学生でもわかるパーマ講座】
美容師なら誰でも分かる「酸化」を図解で解説!小学生でもわかるパーマ講座
ここまでは、ある程度理解してないと先に進めません。
そして、今回の論文の題名
パーマネントウェーブ処理におけるチオグリコール酸還元後の水洗による毛髪内ジスルフィド架橋の再生機構
ちょっと目眩がする、もしくはそっと画面を閉じようとしている理・美容師さんも多いと思うので簡単にこの論文を説明すると・・・
パーマで中間水洗をすると、髪の毛のSS結合はどのような変化が起きるのか?
実験や検証をしてみたって事です。
すると中間水洗しただけでいくらかのSS結合が再結合しているんです。
そんな驚愕の検証結果になってしまったんです。・・・えっ?ちょっ待てよ・・・
中間水洗しただけでSS結合が再結合!?そんな バカな・・・ことって・・・
という事なので、この論文の内容をあなたの為に分かる様に解説していきたいと思います。
まず、パーマをかけると髪の毛の強度はどうなるのか?
強度といっても、そこらへんの素人さんができる様な実験ではなくて・・・
特殊な溶剤で髪の毛のマトリックスやミクロフィブリルを分解し、ゴムのような状態にして、酸素などの影響がないように、水中強伸度などの色々な方法で髪の毛の架橋の強さを計測する
簡単に紹介すると、
とっても専門的な方法で、髪の毛を分解して、あらゆる角度からSS結合(架橋)の状態を計測する。
この方法でデータをとることで、パーマをかけた後で、どの程度架橋が回復しているのか?っていうのが分かるという事なんです。
髪の毛というのは死んだ細胞・・・自分の力では復活できないためポイント制みたいなもの。要は減点方式でダメージしていきます。このデータでパーマの前後を計測すると、どの程度減点されたか!?数値でわかるという事です。
この減点方式というのは、わかりやすく書くと
パーマは・・・
- 1剤で毛髪のSS結合を還元して切る
- 2剤の酸化で再結合させる理屈
たとえば還元で「100」切って、酸化で「100」再結合すればダメージも少ないでしょうが、実際は「100」切っても 「70」ぐらいしか再結合してないかもしれない・・・ってことは「30」は切れっぱなしって事になります。
これらの数値はパーマの薬剤とか・・・工程で変わっていきますけども・・・これがパーマでのヘアダメージの大きな要素になっていきます。
そして今の所「100」切って「100」再結合なんて到底無理な事だと考えられています。
この論文の第1の検証では、
- 2種類の強さのチオグリコール酸で還元(20分間)
- 酸化は通常のブロム酸(20分間)でパーマ工程をしている
その時の”中間水洗の時間”でどの程度、髪の毛の架橋の状態が変わるか?
中間水洗の時間は、1分間(水温25℃)
あとここからは 水温が40℃
20分、1時間、4時間、12時間、24時間、72時間
あらゆるデータからの比較なんですが、トータル的に考えての結果は・・・
中間水洗の時間が長いほど髪の毛の強度は上がっていく!
なので、中間水洗をすればするほどSS結合の再結合する割合が増えて、髪の毛のダメージは少なくなる!
例えば、「パーマ未処理毛」と「初期弾性率」で比較すると「1分間の軽い水洗」では
弱いチオ(pH8.7)だと73%
強いチオ(pH9.3)だと43%まで低下するが
72時間の水洗になると
それぞれ「93%」と「80%」まで回復する数値になる。
ですが、72時間なんて3日間ですから、その期間の中間水洗なんて現実ではあり得ませんけどね。
ただ、中間水洗をすればするほど、髪の毛の架橋の再生率が高くなるという事なんです。
そして、この論文では「第2の実験・検証」に移ります。
2剤・酸化についての検証結果
2種類のチオ(pH8.7、pH9.3で還元剤濃度も違う)で還元して、40℃で20分間の中間水洗した毛髪を
約8%濃度の臭素酸ナトリウム(ブロム酸)で酸化するんですが・・・
酸化タイムを
20分・1時間・2時間・4時間
で検証・・・
その結果は・・・?
2剤の酸化時間の違いによる毛髪のSSの再架橋反応の違いは無い。
当然ながらここでも還元剤の弱い(pH8.7)方がよりSSの再架橋反応はしている数値なんですが、どちらも20分以上になれば4時間放置しても数値に変化はない。
要するに、
パーマでの酸化工程は20分程度までで、それ以上酸化をしても効果的ではないという事なんです。
通常の2剤の酸化では、「20分間」でも、「4時間」でもSSの再架橋の度合いは変わらない。
第1と第2の検証・まとめ
第1検証・・・1分間から72時間までの中間水洗をして
中間水洗が長いほどSSの再架橋反応が強くなる
第2検証・・・中間水洗は20分で行い、
2剤の酸化は20分でも4時間でもSSの再架橋反応は変わらない
そして、この二つの検証値を比較していくと・・・とても興味深いデータが出てきました。
第2検証の「中間水洗20分」「酸化時間4時間」のデータと・・・
第1検証で「中間水洗を長時間して酸化20分を比較すると・・・
中間水洗を長い時間した方がSS結合の再架橋反応が高いというデータです。
酸化は20分以上しても再架橋には意味がない!
同じ条件で中間水洗を長くするとSSの再架橋が多くなる!
しかもデータを比較すると中間水洗を長くしたほうが2剤の酸化を4時間した毛髪よりSSの再架橋の数値が高いって事なんです。
例えば、同じ条件で・・・
- 中間水洗を20分間・・・2剤の酸化を4時間した毛髪より・・・
- 中間水洗を72時間・・・2剤の酸化を20分間した毛髪の方がSSの再架橋(再結合)している数値が高い!
でも第2検証では、2剤の酸化は「20分」でも・・4時間でも・・再架橋の数値はほぼ同じという結果。
ってことは・・・
2剤の酸化じゃなく・・・「中間水洗」時に、何かしらの反応が起こりSSを再架橋させている!
っということになってしまうのだ・・・
今までのパーマ理論では、
”還元でSS結合を切って、2剤の酸化でSSを再架橋する”
ですが、この検証結果からそれ以外にも中間水洗でSS結合の再架橋が起こっているとしか考えられない結果が出ているんです。・・・・ヤバくない????
・・・ということは
SS結合の再架橋は2剤の酸化反応の以外にしっかりと中間水洗することで還元されたSS結合は再架橋している!
これが 現実に起こっているって事なんですね。
という事なので、昔に言われていたパーマ理論では「空気酸化」なんて言う言葉がありましたが、あんなのは嘘って事になります。
1剤で還元した髪の毛は、2剤の酸化でのみSS結合を再結合(再架橋)させると考えられていた。
何ですが、この検証データを解析すると中間水洗をしっかりと行えば、その過程の中で酸化されているとしか考えられない結果が出たんですね。
なぜゆえに?WHY?どうして???
それを解明するために、この論文では第3の検証を行っていく事になるんですが、それについてはまた次回・・・
続きはこちら
パーマ中間水洗って必要なの?毛髪内のSS結合・架橋再生の仕組み2
動画・オーディオで聴きたい人はこちら
まとめ
今回は「美容師さんでも知らない人がいるパーマの2液の過程・理論」について紹介をしていきました。
- 水 or 温水で流すことでダメージが減る
- SS結合・架橋がしやすくなる
- 水で流せば流すほど架橋しやすくなる
- 2液は20分以上は変わらない
- 中間水洗の方が大事・大切
あとは、実際に試して検証を自分でも行っていく事で自分の技術と知識になっていきますのでアウトプットを必ず行っていきましょう行なっていきましょう。
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ではでは、また次回の記事でお会いしましょう。