こんにちは。こんばんは。masakiです。
今回は「美容師のためのパーマ理論”pka”について」ご紹介していこうと思います。
この記事で分かる内容は3つです。
- 還元剤のイオン化
- 毛髪内部に残る還元剤は〇〇
- 酸性チオ・アルカリチオの関係
この三つを知ることでパーマの還元を理解できるようになります。
結論から言いますと、
パーマ内部で還元剤は約半分しか作用していない。
アルカリの力によって「イオン化」した還元剤だけが力を発揮している。
これらが理解できると「酸性チオ」の理解もできてきます。
オーディオ・動画で確認合いたい方はこちら
ではでは、やっていきましょう。
小学生でもわかるパーマ講座 pka
いきなり知らない言語が飛び出しました?(笑)
pka???
なんですか??それは?
pkaとは?酸解離定数のこと。。よく分からないですよね(笑)
酸解離定数(さんかいりていすう)は
酸の強さを定量的に表すための指標のひとつ。
酸性度定数ともいう。
酸から水素イオンが放出される解離反応を考え、
その平衡定数 Ka またはその負の常用対数 pKa によって表す。
例えば、代表的な還元剤では・・・
チオグリコール酸の pkaは pH10.4
システィンは 8.3 システアミンは 8.4
これは還元剤が髪に入ってイオン化されるモノとされないモノが半分になるpHのこと。。
還元剤のイオン化
まぁ実際に髪のSS結合を切る作用の出来る還元剤と反応が起こらない還元剤が 1:1であるときのph。。。
例えば、チオグリコール酸の場合だと
pH10.4の薬剤だと
半分の”チオ君”が働いてSS結合を切っていて
それ以外の”チオ太”(半分)はなにもしてないってことになります。
あ・・・ 小学生でも分かるようにですよね(笑)
まずは還元剤ってなんなの?から始めましょう。
還元剤を「リンゴで解説」
↓
これが「還元剤のイオン化」です。
たとえば代表的な還元剤のチオグリコール酸でお話をすると元々の還元剤を「青いりんご」だとします。
チオグリコール酸と書いてあるように”チオ”は元々強い酸性なんです・・・
そして、この酸性のチオ(青いりんご)がアルカリ性になるとイオン化を始めていきます。
イオン化というのは簡単に言うと「青いリンゴが熟成して赤いリンゴになって、りんごを削ること」(笑)
上の図の下半分です。
削られたりんごが「水素(H)」です。
化学式で書くと
還元剤 ↓
RSH ⇄ RS- + H+
RSH が リンゴ
RS が 削られたリンゴ
Hが 削ったリンゴの部分です。
わかりましたか???
そしてpkaとはなにか?
チオグリコール酸の pkaは pH10.4
こういうこと
↓
チオのパーマ1剤や縮毛矯正剤はphが「10.4」の時に"リンゴ"と"イオン化したリンゴ"が半分半分に存在してるってことなんです。
毛髪内部に残る還元剤は「機能する還元剤」と「何もしない還元剤」の半分半分になる
例えば・・・
pH10.4でチオ濃度6%の溶剤だとすると
チオのままのが3%
イオン化されて
水素が離れたチオが 3%
そんな感じですね。
これでわからん人は、この記事をもう10回読んでね(笑)
そして、pH10以上などの強いアルカリ性のパーマ剤などはない。
一般的にはパーマの1剤などはpH8〜9程度ですよね。
っとことは こんな感じね
↓
まぁ正確な数字はわかりませんが、
pHが「10.4」で半々なんだから
pHが8とか9程度なら
せいぜいイオン化されてるチオは「30〜40%」程度じゃないのかな・・・
パーマでSS結合を切るのは
イオン化された還元剤だけ!
だからpH8〜9程度で還元剤濃度が6%のチオで
実際に還元しているのは2%ほどだよね・・・
それ以外のイオン化されていないチオは
髪の中にうじゃうじゃいるって訳なんだ。。。
そしてイオン化されていない還元剤は中間水洗でも流れない!
たとえばよくあるタイプのpH8〜9程度のチオなら、いくら中間水洗しても6〜7割のチオはイオン化されずに髪の中に残留しているってことになります。
このあたりの理論が酸性チオの話になってくるんですが・・・
↓
酸性チオ・アルカリチオについて
酸性チオの使いかた・パーマ・縮毛矯正編
酸性だから傷みが少ない・・・
いまだにそんな思考で使用してる美容師もいるらしいので、ちょいとここらへんで注意しておきます。
実際、世の中には結構な割合で酸性信者の理美容師がおります・・・
アルカリは悪い 酸性は良い!
おいおいそれはちょっと安易すぎです。
間違いだらけの酸性チオ
少し前にちょろちょろ生息しとったのが酸性チオでの縮毛矯正とか・・・
アルカリでないと働かないチオグリコール酸をおぞましい高濃度にして、それでも反応が鈍いのでスチーマーで長時間加温したりして・・・
- なんでそんなに無理、無茶までして酸性にこだわるのか?
- 酸性でダメージを少なくとか本当に信じているのか?
- 手触りが、艶が!ってたぶん違う理由でしょ!?
酸性チオは単なる前処理剤です。
ここを理解すると実は酸性チオは史上最強の前処理剤になる・・・
効果は大きく二つあります。
◎根元と毛先でダメージ差がある場合などに比較的パーマのかかりの誤差が少なくなる
◎細かい波状や捻転(ねんてん)のクセなどの縮毛矯正で伸ばしやすい(感覚)
では、なぜこうなるかというと、酸性チオは還元を均一化する。
この意味を教えてあげます。
実は、これは以外に簡単な理論です。
酸性チオとアルカリ性チオは還元する部分が違うんです。
髪の毛の図
↓
まぁ中にある黄色い楕円(だえん)がたんぱく質です。
こいつを還元してパーマや縮毛矯正が出来るわけですが、そいつをひとつだけ見て酸性チオの反応を紹介します。
あ・・・
心配しなでください。化学式アレルギーの人用なので。ww
小難しい化学式とか理論なしで書くとアルカリ性のチオは、このたんぱく質の横のあたりを還元しています。
↓
こんな感じです!わかりますよね?
普通はこれでパーマや縮毛矯正をしています。
そして前処理として酸性チオをつけるとどうなるか?
まず酸性なんで素早く髪の中に浸透していく(特性その1)
そして
酸性チオはたんぱく質の上下にくっつく
↓
ここは細胞にくっつくんですが、酸性なんでチオの反応はほとんど起こらないんです。だから還元をしている訳では無い(特性その2)
そして、ここで大事なのはコレです。
「反応してない」「還元してない」「ついているだけ」
時間経過でダメージとかの心配も少ない。
ただしこんなもんでパーマや縮毛矯正がかかる理屈も無い!
なので、この状態でその後に「アルカリ性のチオなどの還元剤」が髪に侵入してくると
↓
アルカリ性のチオは側面を還元し・・・
上下についていたチオもアルカリが入る事で活性化し還元する
そうなんです。
上下左右たんぱく質を丸ごと還元してくれるイメージですね。
ちなみにこれらはmasakiだけの妄想だけじゃないです。
本物の研究者の先生達が言っているお話です。
まぁこれらは話すと長〜い理論になりますし、まだまだ研究中ってとこもあるんですが・・・
今の所はこのような働きになってると考えられてるらしい。。。ww
たんぱく質を”まんべんなく”還元出来る。
なので、「酸性チオの前処理後」に「アルカリ性の還元」をすることによってまんべんなく還元が出来るってことですね。
これらは凄いメリットです。
酸性という事で浸透も早いし、毛先のダメージ部分のアルカリ暴走を防ぎ、根元の健康部分は、この「まんべんなく還元」でしっかりとかかる。
だからダメージ差をある程度誤摩化してくれる。
そしてクセ毛の場合は、まんべんなく還元をすることで、とくに細かい捻転(ねんてん)・波状毛には効果があります。
理美容師の仕事の幅が広がるすばらしいギアってことです。
酸性のチオっていうのはイオン化してないので、たんぱく質に吸着するだけで反応しないです。
ただ、これは還元力とはあまり関係は無いんです。
たとえば先ほども紹介しましたが、
チオグリコール酸の”pka”は「pH10.4」
システィンは「8.3」
システアミンは「8.4」
んじゃシスティンなんかは「8.3」でも半分もイオン化されてますよね。
ただ決定的にシスティンは還元力が弱い!
だからいくら「pka」が低くて、イオン化されてるモノが多くても還元力自体はたいした事はない。
あと還元剤の分子量とか疎水性でも変化するしね(ちょい難しい)
だからこのお話はパーマの還元力とはまた別物だからね!
ただし、パーマ液の還元剤というのは、あなたが思っている程実際に働く部分は少なくて結構沢山の還元剤が中間水洗しても髪に残ってるってお話なんです。
これが還元剤の基礎知識、覚えておいて損は無いはずです。
続きはこちら
知らない美容師が多いパーマ理論3つ「ミックスとジチオ」ダメージ原因はフリーザ?
まとめ
今回は「美容師のためのパーマ理論”pka”について」ご紹介しました。
- 還元剤のイオン化
- 毛髪内部に残る還元剤は〇〇
- 酸性チオ・アルカリチオの関係
結論
パーマ内部で還元剤は約半分しか作用していない。
アルカリの力によって「イオン化」した還元剤だけが力を発揮している。
「酸性チオ」の理解。
還元剤とpHとpka
pKaとは酸解離定数のことです。
そしてpH!!pHは水素イオン濃度の指数のことで、こちらは馴染みがあると思います。
※っと、その前に…有機化学の予備知識は高校止まりなので、間違いがあったらご指摘下さいm(__)m
で、このpHとpKaは縮毛矯正剤やパーマ剤に含まれる還元剤を使うえで非常に重要な意味があります。
…
pKaの前提として、H+(プロトン)を与えるのが酸、水酸化物イオンOH-を受けとるのが塩基という定義があります。
それを踏まえたうえで次にpKaに移ります。
仮にABという酸が解離した場合…
AB=A⁺+B⁻
という式になります。で、その酸の定数を導き出すのに…
Ka=(A⁺)(B⁻)/ABの式を使い数値を入れて出します。
↑の式から出た数値が、この酸の半分が解離した数値のpHという答えがでます。
つまり酸のイオンが半々に分かれたpHのことをpKaといいます。
…
ではサロンで使用する代表的な還元剤チオグリコール酸でいうと…
チオが酸性のときは水素イオンH⁺の多い状態ですが、アルカリ性に傾くとH⁺が少なくなり水酸化物イオンOH⁻が多い状態になります。
H⁺が外れたS⁻はチオレートアニオンといってpHがアルカリ側に高くなるにつれてチオレートアニオンの生成量が増えて還元力が増します。
pH9.6のアルカリチオが強い還元力、pH5.5の酸チオは弱い還元力といったところですね。
…
…
…
…
…
…と、教科書的な内容は以上です。
正直ね、上記内容を理解したところで技術が上手くなることはありません^^;
還元剤ごとにpKaは違いますので数値を調べてみてください。
チオのpKaならネット上に情報は転がってます…他の還元剤も。
で、各種還元剤が効率の良いpHで還元できるかデータを取ってみてください…面白いですよ♪
そしてどうしたらダメージが少なるか理論を構築してみてください。
たぶん誰でも教科書読めば頭では理解できます。
僕も昔はそうでした。理論を講習会で勉強しました…それで?
知識は増えました…ここで応用する智慧を働かせないといつのまにか講習で勉強した知識はすぐ忘れます。
理解したところで施術に応用しなければ何のために勉強したの?になってしまいます。
これは自分で検証してデータを取っていかないと最終的に身につかないんです。
ちょっとpKaについて書いてみましたが…何かのきっかけになれば幸いです。
…
最後に…pKaを理解してチオレートアニオンの生成量を理論的にダメージを抑えるように構築しても還元剤ごとに分子量や分子構造の違い、また素材である毛髪のコンディションなど様々な要因が影響しますので理論的にはいかないと思います…だって毛髪自体未解明な部分が多いしね。
還元剤のphによる、イオン化に変化していく過程、そこからの毛髪内部に残る還元剤が半分に分かれること。その原理から分かる酸性チオとアルカリチオの関係について紹介しました。ぜひ参考にしてみてください。