こんにちは、こんばんは、masakiです。
今回のテーマは「パーマ中間水洗って必要なの?毛髪内のSS結合・架橋再生の仕組み2について紹介していきたと思います。
まぁ・・・前回の続きです。
パーマネントウェーブ処理におけるチオグリコール酸還元後の水洗による毛髪内ジスルフィド架橋の再生機構
↓
このいかにも難しいそうな論文を「理・美容師さん」の為に解説していきます。
前回までの内容
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知らない美容師が多い⁉︎パーマ2液とは?中間水洗と架橋の関係性・仕組み1
今回の内容を動画・オーディオで聴きたい方はこちら
パーマの中間水洗と毛髪内のSS結合が架橋再生している⁉︎
この論文の中の最初の二つの検証でパーマでの還元、酸化の仕組みの中で、SS結合の再架橋は2剤の酸化反応以外にしっかりと中間水洗することで還元されたSS結合は再架橋している!っていう事実が発見されました。
そして今回の「第3の検証」でこれらがどのような仕組みで起こっているのか?
考えていきます。
パーマの中間水洗と毛髪内の架橋再生の仕組み
パーマの還元反応で、中間水洗をしっかりとすれば2剤の酸化反応をしなくても「SSの再架橋(再結合)」が起きている。
これは、検証で数値化された紛れもない事実…では、なぜこのような現象が起こるのか???
これらを考えていかなければいけない。。
そこで、もう一度美容師さんの苦手な化学式です。
還元剤 ↓
RSH ⇄ RS + H+
還元反応 ↓
KSSK + RSH ⇄ KSSR + KSH (1)
KSSR + RSH ⇄ RSSR + KSH (2)
酸化反応 ↓
2KSH + O → KSSK + H2O
この中で酸化反応は起こっていないということなんで、”還元反応だけで”考えなければいけない。
そこで考えられるのは、還元反応の(1)式・・・
KSSK + RSH ⇄ KSSR + KSH
この式が ← の方向に反応してKSSKが再結合しているとしか考えられないわけです。
パーマの1剤で還元して”ミックス(KSSR)”と”KSH”になったものが移動した部分でもう一度”KSSK”になる
これらの現象が中間水洗をしていく中で髪の毛の中で起こっていると考えられる訳です。
この仮説を立証するために、この論文では「第3の検証」を行っている。
まず同じ条件で還元して
- 25℃の水温で1分間の中間水洗をした毛髪
- 40℃の水温で24時間の中間水洗した毛髪
2剤で酸化する前のSS結合の架橋の度合いを比較すると、約3倍以上・・・24時間の毛髪のほうが強い!
この様なデータが出ました。
そこで、本来の還元の反応式
KSSK + RSH ⇄ KSSR + KSH
これらの影響で起こっているのかを調べるために、毛髪に”NEM処理”というものをします。
NEM処理というのは N_エチルマレイミドという特殊な薬剤で、毛髪のフリーのシスチン残基(KSH)を封鎖することだ。
このように
↓
KSSK + RSH ⇄ KSSR + KSH(封鎖)
KSHを封鎖することでこの反応式を働かないようにする実験です。
簡単に説明するとパーマの還元反応で起こっているとされてる化学反応を薬品でストップしてしまおうということ。
この検証ではこの様に化学反応を止めた毛髪を
40℃で 1時間・24時間
60℃で 24時間・48時間
中間水洗をして前の検証と同じ様に、2剤の酸化前のSS結合の架橋の度合いを見ていきます。
結果は・・・
前の検証の25℃の水温で、1分間の中間水洗をした毛髪と同じ程度。
そうなんです。この検証結果からパーマの反応式
KSSK + RSH ⇄ KSSR + KSH
=KSHを閉鎖して反応しないようにすると、中間水洗をいくらしようとSS結合の再架橋は起こらないと推測できることになります。
やっぱり中間水洗すると反応式が
KSSK + RSH ← KSSR + KSH
この様に動くということが判明しました。
これが還元されたSS結合が再結合(再架橋)される仕組みなんですね。
ではでは、なぜその様な反応が起こるのだろうか???
それは2つのことを理解しなければいけない。
まずは、中間水洗で髪の毛から流出する物・・・
この記事を復習しましょう。
↓
美容師向け還元剤→イオン化→実は2つある?【小学生でもわかるパーマ講座】
中間水洗で髪の毛から流れ出るのは、前回も紹介している、還元剤のイオン化ですよね。
青いリンゴ→アルカリが反応→イオン化
イオン化すると RSH から Hが離れて RSとHに分かれます。
還元剤 ↓
RSH ⇄ RS + H+
RSH = 青いリンゴ
RS = 赤い削られたリンゴ
H = ちぎれたリンゴの部分
RS = 赤い削られたリンゴが2つくっ付くと”ジチオジグリコール酸に変わります。
化学式で書くと「 KSSR と RS と H+ 」
思い出してもらえましたか?
中間水洗して流れるものには”ジチオジグリコール酸”ともう1つありましたよね?
イオン化した”還元剤”です。
これが流れるとどうなるのか?
ここで平衡反応(へいこうはんのう)です。
こちらの記事の中で紹介した内容・・・
↓
知らない美容師が多いパーマ理論3つ「ミックスとジチオ」ダメージ原因はフリーザ?
KSSK + RSH ⇄ KSSR + KSH
この反応式で”RSH”のイオン化されたものが流れて少なくなります。
ということは・・・濃度での平衡反応が起こって・・・
反応式が ← に移動する
だから・・・
KSSK + RSH ← KSSR + KSH
非現実的なレベルほど・・・サロンワークではあり得ないほど、中間水洗をすると、パーマの反応式は左へ移動して、1度還元剤で切られたSS結合が、この反応式が左に動くことで”SS結合の再結合(再架橋)”されるという理屈になる訳です。
今までは仮説でしかなかったこの化学反応が、この論文での検証結果で十分に確証があったと思われるわけです。
ではでは、この論文をいかに現実的に利用してダメージの少ないパーマにしていくのか?
この辺を考えていかなきゃいけませよね・・・
なので、この論文だけを読んで先走りして妄想しすぎはNGってことです。
パーマ中なんて髪の毛の中ではクラブではっちゃける若者達みたいなもんなんですよ。
パーマの反応式は
KSSK + RSH ⇄ KSSR + KSH (1)
KSSR + RSH ⇄ RSSR + KSH (2)
そうですよね・・(2)式の反応もあるし
以前から紹介している、中間水洗でジチオが流れて還元が進行する。
これらも間違いではないってことです。
これからは、今までのパーマ理論にこの論文の内容も合わせてよりダメージの少ないパーマだったりミックスジスルフィドの生成をできるだけ少なくするパーマ方法や薬剤。
これらを考えていく事もとっても必要なんです。
なので、大切なことは、ジチオジグリコール酸とゆっくり酸化させる方法はデジタルパーマやエアウェーブなどの乾燥工程のあるパーマやアイロンやブロー工程のある縮毛矯正には絶対にやってはいけない!
パーマの工程に乾燥がある場合は、出来上がりのヘアスタイルで”濡れてる時”と”乾いた時”のウェーブ・リッジのギャップの少ないのを狙うのでゆっくり酸化させる方法は向いていないんです。
ここだは注意しておきましょう。
今回の内容を動画・オーディオで聴きたい方はこちら
まとめ
今回は「美容師さんでも知らない人がいるパーマの2液の過程・理論その2」について紹介をしていきました。
- 中間水洗の時間が長い方が良い
- 流す時間が長い方がSS強度が上がる
- 平衡反応が起こる事でSS結合の再架橋する
- 中間水洗でジチオが流れて還元が進行する
- パーマ理論と論文の内容を組み合わせて考える
あとは、実際に試して検証を自分でも行っていく事で自分の技術と知識になっていきますのでアウトプットを必ず行っていきましょう行なっていきましょう。
今回の内容が学べた勉強になったという方は「ブックマーク登録」よろしくお願いします。
ではでは、また次回の記事でお会いしましょう。