こんにちは。こんばんは。masakiです。
今回は「クリープを使ったかかり具合の検証」といったテーマでお話していきます。
今の世の中「パーマ」というものは呼び名で言えばたくさんあります。
水パーマ、コスメパーマ、エアウェーブ、デジタルパーマ、酸性パーマ、コテパーマ・・・
こんな感じでパーマの種類がいっぱいあるような雰囲気ですが、パーマの基本原理はほとんど同じです。大きく分けると”3種類”しかありません。
そんなパーマの基本である還元・クリープ・熱処理の違いを今回は写真を使って紹介していきたいと思います。
パーマ原理をもっと詳しく知りたい方はこちら
で、パーマの種類ですが、この3つですね。
◎コールドパーマ
パーマ剤の薬剤反応だけで パーマをかける方法
◎エアウェーブ
薬剤反応と 施術前や施術途中で
55℃程度の温風で髪の毛を乾燥させるパーマ
◎デジタルパーマ
薬剤反応と 施術途中に
ある程度の高温で乾燥させるパーマ
その中で覚えないといけないのが、パーマをするのであれば必ず1度は耳にしたことのある「クリープパーマ」です。
クリープとは?
クリープとは?「ずれる・変形する」という意味です。
パーマ施術において1液で毛髪内部の側鎖結合である「水素結合」「塩結合」「シスチン結合」などを切断し、
様々な結合が切られてる状態で変形しやすくなった状態、つまり、ずれやすい状態をつくります。
この側鎖結合の還元の終了から2液までの間にクリープ期という時間を置くことでコルテックの歪みを安定させ、乾かしてもだれにくい理想的なパーマのカール形成をすることです。
パーマのかかる仕組みとして中間水洗で1剤を洗い流した後に、そのまま再結合するのが普通のパーマで、
クリープパーマやエアウェーブは、スチームなどの熱や湿度でクリープを促進させ、
エアウェーブやデジタルパーマはロットを巻いたままで乾燥、タンパク変性をさせます。
こんな感じで色々ポイントがあるのですが、このクリープ期の時間と乾燥により、共有結合以外の2次的結合がおきるのです。
つまり、水素結合やシスチン結合・塩結合の再結合がおきるということです。
クリープパーマを使った方法
クリープパーマをあらためて確認していきましょう。
まずは、ウィッグに2本のロッドを巻いていきます。
このように2つを比較していきます。使用するパーマ液はpH8くらいでいきます。
8分おいてロットを外してチェックすると、このように1液によって毛髪がウェーブ形成されています。1液の役目はカタチを形成することですがこのまま終了してしまうと固定はできないので2液でカタチを固定する作業に入るのが普通のパーマです。
一応両方外しておきます。どっちも同じですね。当たり前です。はい。
ここの中間でクリープ期という理論を使う訳ですが、昔のクリープ期は
「1液をすすいだ後、一定時間(30分まで)放置する」ということしかかかれていません。
なので、今回はこのまま片方は2液で固定(終了)し、もう片方はクリープ期として30分そのまま放置します。
片方の仕上がりはこのような感じです。30分後にもう片方を2液で固定します。
仕上がこんな感じですね。
2つを比べてみるとわかりますが、クリープ期をおいたほうが、パーマのかかり具合が良いですね。
そして、その仕上がりの差がわずかでしかないことも理解できます。たったこれだけのウェーブ効率のために努力しているのかと思うとなんだか切ないですね。そうなんです。でも、こういった地道なことの積み重なりが大きな結果を生むのです。それでは次のステップにいきましょう。
熱処理を使ったパーマ方法
次に、デジタルパーマとクリープ期を比較してみましょう。
さきほどは中間処理としてクリープ期をおくことでウェーブ形成が強くなったことがわかりましたね。次のテストでは「熱処理をおこなうとどうなるのか?」という実験をしてみます。
使用する薬は先ほどと同じです。片方はデジパで熱処理、もう片方はクリープ期でそのままです。
デジタルパーマのほうは完全に乾いてます。
巻きなおして2液で固定します。デジパの方が乾いているのは確認できますか?
仕上がりです。
デジタルパーマの方がパーマ形状が良いのが確認できます。
つまり、ただ単に中間水洗後にクリープ期の時間をおくよりも熱処理としてデジタルパーマを使う方がウェーブ形成はいい訳です。別にエアウェーブでもスチームでもドライヤーでも可能になります
なんとなくクリープ期の意味が理解できてきましたか?そして、熱処理する意味も理解できましたね。
熱処理の前に前処理をするパーマ
次に、中間の熱処理(今回はデジタルパーマ処理)の前にある処理を開いていきます。これらを使うと面白いことが起きます。それでは実際にみてみましょう。
次は先ほどのウィッグの髪を一度ストレートにします。
ストレートにするといってもパーマをかける訳なので、適当に時間をおいたら一度お流します。
ここで左側にただのケラチンタンパク質をつけいきます。
2液で固定して終了したばかりの仕上がりです。流してみるとより違いがわかります。
流してみるとさらに仕上がりに変化がでました。
順をおってみるとわかりますが、様々な方法を組み合わせることが更なる効果を生んでいることが理解できましたね。
それでは、最後に何もしないときから色々工夫した仕上がりの比較をしてまとめにいきましょう。
クリープ期は本来1剤終了後の中間水洗をした後に髪の毛の中で起こる反応というのは理解できましたね。
実は、中間水洗しても、アルカリなどは流れ出ていますが、還元剤が中に残っていて、放置している間に還元が進行していることで、よりパーマのカールが強くなっていくのですが、今回はクリープを置くことでカールがよりしっかりかかること分かれば上出来です。
では、デジタルパーマは何が違うのか?
簡単に説明すれば2液というカタチを固定する作業時に髪が乾燥しているのか、していないのかの違いです。
デジタルパーマの場合は、熱という名のタンパク変性をおこなっていますので、よりカールが強くなっていいます。卵でいうところの熱すれば固くなっていく原理と同じイメージで覚えておきましょう。
熱変性などについてはこちらの記事でチェック
パーマにおける【還元・軟化・膨潤】を小学生でも分かる内容で紹介【保存版】
パーマは応力緩和
応力緩和についても検証を確認していきましょう。
前回紹介している、キューティクル還元でダメージを少なくパーマをかけていく方法を紹介しましたが、それの実践編ですね。
【ウェーブダメージ減少させる方法】クリープパーマ・応力緩和・ポイントは3つ美容師基本編
前回の記事内容を簡単に紹介
還元前の応力緩和でパーマは変わる
パーマの場合の タンパク質の
移動はこんな感じだよね
↓
んで 例えば こいつを
上の部分のみで考えると こうだよね
↓
そう 上の部分のみで考えると髪の毛が曲がるのでタンパク質は広がろうします。
こいつを1組のタンパク質で見るとこんな感じ
↓
このタンパク質同士をつないでいる側鎖(そくさ)にはSS結合、水素結合、イオン結合など色々とあります。。。
当然この子達を切った方が移動はしやすいですよね。
従来のパーマならSS結合、水素結合、イオン結合などを切ってから移動させるんですが。
それじゃ事前の移動じゃ〜ない。ってことで、
そこで利用するのが「水素結合」です。
水素結合というのはご存知のように髪が濡れることで”切れ” 乾燥することで”再結合”される。
いわゆる「寝癖」をイメージしてもらうと分かりますかね。あとはコテ巻きなんかも髪の毛に残っている水分を飛ばして作るので水素結合を再結合しています。
なのでこの特性を利用してパーマ液でSS結合を切る前にタンパク質の移動をしとけば良いって事です!
いや〜 実に簡単ですね。
クリープの方法は水で濡らしてロッドを巻き完全乾燥させるだけです。
ここまでを前回紹介しましたね。
で、実際にかけるとこうなります。
↓↓↓↓↓↓↓↓
この状態からスタートします。
応力緩和実験のためにアルカリ水を用意します。(普通の水でもOK)
まずはじめに髪に「アルカリ水」をつけてロッドを巻きます。
普通はパーマの1液をつけるのですが、ここではまだ薬剤はつけずにそのまま乾燥行程に入ります。
左側にアルカリ水をつけて巻いて加温します。
右側は普通に巻きますが加温はしません。
ここで乾燥して「水素結合」を移動しておくことがポイントですよね。
乾燥が終了しました。このままだと片方は当然濡れているので両方を同じような状態にするため今回はもう片方もドライヤーで乾燥します。
もう片方が乾燥し終わった状態ですね。
巻き直します。
ここからは普通通りのパーマ行程をしていきましょう。
1液→2液の流れですね。
また、先にこの方法を用いると1液のパワーは弱くできるメリットがあります。
薬剤だけのチカラに頼らず、応力緩和を使って事前に結合の移動を行なっておくことで、薬剤によるダメージを抑えることが出来るのです。
仕上がりがこちらです。一目瞭然ですが、乾燥させた方がかかりがよいですよね。これがひとつの応力緩和という方法です。
まとめ
いかがでしたか?
一言でパーマとかクリープパーマとかいってもその行程は様々でその行程で仕上がりも異なる訳です。ここでは全てウェーブ効率をあげることをメインに順をおって検証していきましたが、実は逆の効果でウェーブ効果をさげることもあるのです。
例えば先ほどあったクリープの中間で使用する処理剤を色々比較テストしてみるとわかるのですが、相性が悪いモノもあるのです。また温度や使う機械によってその効果は変わるでしょうし、当然薬剤によっても仕上がりは異なる訳です。
そして、クリープ期やエアウェーブなどで行う乾燥などの様々な手法をつかわないパーマでもスタイルをつくれてしまう場合があることも事実ですし、
パーマにおいてクリープや乾燥行程というのはひとつの方法でしかなく、
1剤や固定する2液の使い方も重要なファクターであることには違いありません。