マーケティぐ戦略を練る上では、顧客の購買行動も捉えることが欠かせません。特にブランドの存在意義を再設定する動きが最近広がりつつあることを考えると、それに合わせて顧客との関係についても見直す頃が必要です。
今回のポイント
- ブランドファネル
ファネル(漏斗)をようなフローで購買行動を捉える手法 - ブランド・パーパス・ストーリー
循環するようなフローの形で購買行動を捉える手法 - NPS(ネット・プロモーター・スコア)
商品などの他人への推奨を度合いでファン度を作る指数
ブランドファネル
従来の顧客の購買行動を捉える際には、「ブランドファネル」の考え方が使われてきが、ここでは、美容師との関係性を深い段階へと移動させていかに顧客を多く獲得するかが重要でした。
これまでの顧客には購買行動は、認知から始まる「ブランドファネル(漏斗)」で捉えるのが一般的でした。ここでのゴールは、顧客をいかに多く獲得するのか、でした。獲得する顧客数を最大化するには、いかに認知を広め、可能な限り認知者に理解や興味を深めてもらうなど、ブランドとの関係性を深い段階へと移動させることが需要でしてた。
認知拡大の為には、コミュニケーション施策により多くの投資を行う必要がありました。つまり、買ってもらうまでが主戦場だったのです。
しかし、現代は美容師やサービスが均質化して、技術では大きく差別化をしていくのが困難になってきています。また、これからはお客様の中心を担うミレニアル世代は、何を所有するのかは大事ではなく、所有することによって自分がどう感じるのかに重きを置く傾向が強いとされています。ブランドや美容師そのものに価値を感じ、共感してもらい、さらにはファンになってもらうことが求められる時代が来ています。
美容師は共同編集する顧客関係に変わる
では、最近の顧客はブランドの何に共感するのでしょうか。顧客側の視点に立って考えてみましょう。
例えば、これまで重要とされてきた優れた機能や性能はどうでしょうか?
おそらく使うことはあっても共感はしないでしょう。共感を得る為に必要なのは、提供する技術やサービスの背景にある確かな世界観やストーリーの存在です。
世界観やストーリーには顧客は親しみを感じて、自分の感性と重ね合わせて、時には周囲に語ってブランドに対する共感の輪を広げてくれます。だから顧客になります。
つまりこれからのブランドとの関係において、顧客はブランドイメージや美容師技術などを一方的に受け入れるだけの人から、背景にある世界観やストーリー、体験を共同編集する人へと変化していきます。
また、お客様自身が情報発信の主体となりますので、顧客やお客様が発信する情報も無視できません。むしろサービスの使用感や不満点などに関する顧客の声を丁寧に汲み取って、改善に向けたヒントに繋げていくことが求められます。美容師は今後ますますお客様が発信する声によく耳を傾け、取り組んでいかなければなりません。
これまでの、来てもらうだけののコミュニケーションを見直すことが必要になってくる。
美容室に行くというお客様行動の捉え方も変わっていく
ブランド(美容師)と顧客は共同編集者のような関係になりますので、購買行動の捉え方も考え直さなければなりません。ブランドファネルのような認知から獲得までで終わる一直線のフローではなく、むしろ顧客となってくれた後にいかに接点を持って継続的な関係を築き共感を生み出していくか。そして、お客様が情報発信源になることを踏まえたものでなければいけません。
それにはブランドパーパスへの共感構造まで視野に入れて循環するようなフローが必要です。それが「ブランド・パーパス・ストーリー」という考え方です。
美容師のファンになってもらう重要性が増してくると、獲得後にどのように顧客との関係に築き上げるかに重きをおかなければなりません。つまり、従来のCRM(顧客関係管理)として捉えてきた領域の重要性が増し、施術してからが主戦場になっていきます。
こうした結果、評価の面にも変化が生じます。マーケティング活動がうまく進んでいるかどうかは、認知あるいは好意の上昇率や新規顧客獲得数は評価しにくくなるからです。今後は、LTV(ライフ・タイム・バリュー)やNPS(ネット・プロモーター・スコア)といったファン化を測る指数で評価することが求められます。
LTV(ライフ・タイム・バリュー)とは1人の顧客が